現場で高まる「危機管理力」―警備員に求められる次の能力
- ebetsu-iwamizawa-k
- 1月20日
- 読了時間: 3分
1. 導入(前回からのつながり)
前回の記事では、地域と警備会社が協力し合うことで安全体制が強化されていく「地域連携」の重要性を取り上げました。地域全体で情報を共有し、犯罪や災害に備える体制は年々整備が進んでいます。その一方で、警備業務の現場では、地域協働だけではカバーしきれない「突発的なリスク」への対応力が、これまで以上に重要視されています。そこで今回は、現場で重要性が増している「危機管理力」に焦点を当てます。

2. テーマの背景・問題意識
近年、犯罪手口は多様化し、災害は規模と頻度の両面で増加傾向にあります。変化の激しい環境の中では、マニュアル通りの対応だけでは十分とはいえません。状況を的確に判断し、被害を最小限に抑える行動が求められる場面は今後さらに増えていくはずです。
こうした背景から、警備員一人ひとりが現場で適切に判断できる「危機管理力」は、業務全体の質を左右する重要な要素となっています。
3. 現場視点での具体的な取り組み
● リスクの早期発見
危機管理の第一歩は、異常の兆候をいち早く感じ取ることです。巡回中の細かい異変、利用者の動きの不自然さ、周囲の環境変化など、些細な違和感に気づける観察力が求められます。
● 多部署・他組織との連携
施設管理者、テナント、自治体、警察・消防など、複数の組織と連絡を取り合う場面が増えています。正確な情報伝達と連携は、危機発生時の混乱を抑えるうえで欠かせません。
● 迅速な初動対応
火災報知、侵入アラーム、体調急変者の発見など、初動対応の正否で結果が大きく変わる事例は多く存在します。初期消火、通報、避難誘導、現場の安全確保など、状況に応じた判断と行動が重要です。

4. 事例・ケーススタディ
ある商業施設では、警備員が早期に異常熱を察知し、設備担当へ即時報告したことで、バックヤードの小規模火災を未然に防いだ事例があります。このようなケースでは、マニュアルよりも「普段との違いに気づく力」が大きな成果につながります。
また、夜間巡回中に不審者の動向を早期に判断し、迷惑行為や軽犯罪を阻止した例も少なくありません。危機管理には、経験に基づいた判断と、冷静な対応が大きく関与しています。
5. 求められる技術・スキル
危機管理力を身につけるには、以下が重要とされています。
観察力(わずかな異変を見逃さない)
判断力(状況を体系的に整理し結論を出す力)
伝達力(関係先へ的確に情報を共有する)
心理的安定(緊急時でも冷静に行動する)
法令知識(状況に応じた適切な法的判断)
これらは短期的に習得できるものではなく、日々の業務を通じて磨かれていく力です。
6. 今後の展望・課題
AIや新しい防犯機器の導入によって監視体制は強化されつつありますが、危機管理力においては、最終的に「人の判断」が不可欠とされています。テクノロジーは情報提供には優れていますが、状況を読み、適切に対応するのは警備員自身の役割です。
今後は、教育・訓練の高度化や、実践シナリオに基づいた訓練プログラムの普及が進むことで、業界全体の危機管理能力がより底上げされていくと考えられます。

7. まとめ
危機管理力は、警備業務において「最後の防波堤」といえる重要な能力です。地域連携や設備強化といった外部要素に加えて、現場の警備員が確かな判断力を備えることで、安全体制はさらに強固なものとなります。次回以降の記事では、この危機管理力を支える訓練や教育体制にも触れていきます。


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